2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ドジっ子アピールはほどほどに

唐突に東京は江古田のウィークリーマンションにいる。来月か来々月に引っ越すであろう新居を探すためなのだが、「ペット可」だけでいきなり条件が絞られる。というのは前から判っていたのだが、現実を突き付けられると悄然となる。 そしてドジっ子アピール(…

写経の功徳

しかしこのように他人の文章をきちんと「写経」するのは、ネット上に公開されている文章を安易にコピー・アンド・ペーストするのとは違った効用がある。自分が知らず知らずのうちに身に付けている文体を客観視する契機になるからだ。正確に引用しているつも…

今日もかわいいよ!

大岡昇平の『ザルツブルクの小枝』の「ギリシア幻想」を読み返していたら、こんな一節があった。 アテネに着いて、最初に気がつくのは、ヨーロッパの都市の広場に、あれほど醜悪な感じを与えるバロックがないことだ。 (中略) ギリシャにあるビザンチンの会…

「かわいい」再考・フランス編

さてフランス語では女性を示す名詞として、"fille"と"femme"がある。"fille"はあくまでも未熟な女性であり、"femme"は成熟した女性を意味する。そして"fille"と"femme"の中間領域を指す言葉がない。日本の文化は、なぜかこの中間領域にある女性を愛でる伝統…

「かわいい」再考・日本編

昨日から「かわいい」が気になっている。四方田犬彦『「かわいい」論』(ISBN:4480062815)をふたたび参照するなら、彼は語り手が「かわいいもの」を列挙する太宰治「女生徒」を、「少女独白小説の嚆矢」と位置づけ、『斜陽』や「皮膚と心」の祖形としている…

かわいい娘

ところで「娘(mousmé)」という単語は、フランス語として正規に登録されている。嘘だと思ったら、mousmé - Wikipédiaでも読むとよい。というのは不親切すぎるので意訳する*1。 「娘」はfille(少女)と意味的に同じ系列に属する日本語の単語である。20世紀…

フジ、フジ、フジ!

『バブルへGO!!タイムマシンはドラム式』をテレビで観る。タイムパラドックスものなのに、それらしい考証がネグレクトされており(細田版『時をかける少女』を「矛盾だらけだ」と批判したSFファンは、これを観てどう思うのか)、バブル時代の日本に対する鋭…

OSと転向

学生時代はMacユーザーで、社会人になってからもしばらくMacにこだわっていたのに、世の趨勢に逆らえずにいまではWindowsユーザーになった同世代人はけっこういる。これは詩人として文学的なキャリアをスタートさせた人物が、次第に「詩では生活できない」と…

今日の読書

午後の曳航 (新潮文庫)作者: 三島由紀夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1968/07/15メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 21回この商品を含むブログ (60件) を見る今年になってからやたらと三島由紀夫づいているが、これは積読状態になっている本を少しでも減…

表紙に見る日本文学の受容

Twitterでid:yomoyomoさんと喋っているうちに、上のようなことが気になった。参考としてamazon.frをば。オレよりも英語が得意なひとは、amazon.comで似たようなことを調べてほしい。 谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』http://www.amazon.fr/dp/2070423867 川端康成…

あれから19年

昭和が終わった日のことはよく覚えていないが、平成が始まった日のことは覚えている。一日遅れの思い出話だが、書きたくなったので書く。 1970年12月28日に生まれたオレは高校3年生で、いわゆる進学校に通っていた。頭のなかは大学受験で一杯、というのは嘘…

行為ではなく認識

三島由紀夫『金閣寺』(ISBN:4101050082)、読了。「最後が唐突すぎる」という印象を持つ。「世界を変えるのは行為ではなく認識だ」という友人の言葉に共感し、女性と交わろうとしても乳房に金閣の幻想を見て童貞を喪失しそこねる主人公*1が、なぜ土壇場にな…

作曲家アドルノ

オレはかねてよりアドルノの作曲した音楽を聴きたいと思っていた。ほかならぬ『否定弁証法』で知られているアドルノである。なぜかというといしいひさいちの名著『現代思想の遭難者たち』に、アドルノ教授が学生に向かって「音楽はスカと言いたいなら眩暈の…

パスポート新調

特に海外に出掛ける予定はないのだが、そろそろ期限切れになりそうであり、ひとはいついかなるときに旅への欲望やら必然性やらが生じるのか判らぬものなので、某デパートでパスポートを更新。デパートでパスポートが作れるのか、と驚く向きもあるかもしれな…

オペラと徴兵制

年末年始のテレビの特別番組もそろそろ底を付きかけてきた感があるが、オレがもっとも興味深く視聴したのはNHKハイビジョンで先月29日に放送された、「あの歌声を再び〜テノール歌手 ベー・チェショルの挑戦〜」であった。これは将来を嘱望されつつも甲状腺…

visionnaireになれなくて

オレは幻覚を見るのは好まないが(存外につまらないものだと、具体的に知ってしまったからだ。詳細は少しあとに述べる)、いわゆるインテリと呼ばれる日本人が幻覚に対してどんな感想を抱いたのかを調べるのは好む。 昨日の日記で大岡昇平に言及したついでに…

大岡と三島と安吾

坂口安吾は1946年に発表にした「戦後文章論」というエッセイで、 大岡昇平と三島由紀夫は戦後に文章の新風をもらたしましたが、その表現が適切に、マギレのないようにと心がけて、まさしく今までの日本の文章に不足なものを補っております。明快ということは…

註釈はほどほどに

金閣寺 (新潮文庫)作者: 三島由紀夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/05メディア: 文庫購入: 16人 クリック: 291回この商品を含むブログ (393件) を見る昨夜はラテン語がろくに判っていないのを露呈する日記を書いたので、恥ずかしさを紛らわすために更…

sexの氾濫

女性向けのファッション誌やオヤジ向けの週刊誌で、セックスをわざわざ"sex"と表記するのが、どうにも気に入らない。そんなに横文字が好きなら、いっそのこと"sexus"とラテン語で書いたらどうか。ところで研究社の羅和辞典で、"sexus"と"Shintoismus"(神道…

不在のメガネ男子

眼鏡を新調したのがきっかけで、アスペクトの『メガネ男子』(ISBN:4757211740)を漫然と読み返す。こういう本の人選は編者の好みに左右されがちというか、左右されていないと面白くないものだが、それにしても紙面に登場しないメガネ男子が気になってくる。…

民営化の悲喜劇

朝日新聞をめくっていたら、日本郵便というか、郵便事業株式会社の全面広告が載っていた。年賀状をもっと書きましょう(「買いましょう」が本音なのだろうが)という趣旨なのだが、起用されているのが和装の坂本龍一だったので苦笑した。左利きの悪筆家で、…

安吾と眼鏡

文学者と眼鏡といえば、前から坂口安吾のことが気になっている。旧制新潟中学時代の安吾は急速に視力が悪化し、最前列に座っても黒板の字がまともに読めないようになり、成績が低下、放校処分になるのを避けるために東京の中学に編入学した、と多くの年譜に…

銀縁と黒縁

Zoffとユニクロで眼鏡とセーターとパンツを新調。この2店のセレクトにオレの経済状況が反映されているが、まあ、どうでもよろしい。これまでフォーマルな場ではメタルフレームの銀縁の眼鏡(糸色望先生がかけているようなデザインのやつ)、日常的な場ではセ…

買い初め2

ジャズ大名 [DVD]出版社/メーカー: 角川エンタテインメント発売日: 2008/02/22メディア: DVD購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (25件) を見る筒井康隆原作の映画(をたくさん観ているわけではないが)でいちばん気に入っている作品が廉価で再発…

買い初め

といっても、amazon.frのショッピングカートに溜まっていた商品をクリックしただけなのだが。 http://www.amazon.fr/dp/2012372333 東浩紀『動物化するポストモダン』のフランス語訳。現代の日本語で書かれた本の翻訳を読むのもフランス語の勉強になるだろう…

bonne année!

またもや初音ミクのデモ版でつまらぬ曲を作る。所要時間30分弱。 http://yskszk.org/mp3/bonne_annee.mp3 出典を明かさないのは性に合わないので明記するが、メロディーは高橋幸宏の"Grand Éspoir"の間奏から拝借した。ニウロマンティック ロマン神経症アー…