どこまでシリアスになっていくのか

yskszk2008-03-25

鋼の錬金術師 19 (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師 19 (ガンガンコミックス)

今日は非常に不快で釈然としないことがあったので、左派系のインテリ向けの週刊誌と愛読している漫画を買って、好きな音楽を聴くくらいしか、鬱屈した気分を晴らす手段がない。そんなわけで『鋼の錬金術師』の最新刊を読む。
この手の格闘漫画は「敵のインフレ」状態に陥って次第に話が破綻しがちだが、これは7年も連載されているのに、構造がしっかりしている。「最終的な敵」が物語のはやい段階で提示されており、暴力を振るうことはあるが、決して殺人には手を染めない主人公とその弟が、戦わなければならない内面的な必然性を持っているからであろう。
ただしこの作品、友人に指摘されるまで気付かなかったのだが、連載当初に較べると物語がシリアスになりすぎている。第一巻の「作者の言葉」では、

B級映画が好きです。

「なんじゃこりゃ、ムチャクチャだ」と思いながらも

あれよあれよと最後まで観てしまう、そんな感覚が好きです。

と書き、「自分の漫画にもそのテイストを盛り込みたい」と表明しており、実際にそのような内容であった。しかしいまは、イラク戦争ベトナム戦争を描いたノンフィクションのようなテイストになっている。これはこれでいいと思うのだが、政治にも歴史にも関心がない小学生や中学生は理解できるのだろうか。