音楽映画が好きすぎる

ジャズ大名 [DVD]

ジャズ大名 [DVD]

懐かしい映画をDVD鑑賞。原作は筒井康隆の短篇小説で、音楽も本人と山下洋輔が担当。監督は岡本喜八南北戦争中に母国を脱出して日本に遭難した黒人ジャズ・ミュージシャンに音楽好きの駿河の小藩の藩主が興味を持ち、みずからクラリネットを吹きまくり、しまいには明治維新にも気付かないほど、城を挙げての一大ジャムセッションが繰り広げられるという一席。山下洋輔トイピアノタモリがラーメンの屋台のチャルメラで参加するなど、えらく個性的なキャスティング。細野晴臣も参加していたように思うが、これは記憶違いであった。主題曲を原作者本人が作曲した映画はけっこう珍しいのではないか。音楽がテーマの映画には点が甘くなりがちなオレだが、これは誰が観ても楽しめる。
公開日が1986年4月19日なので、高校1年生のときに5月の連休中にリアルタイムで新潟市の古町五番街の映画館で観たはず。ポルノ映画のポスターだらけの館内に緊張した覚えがあるので日活映画だと思っていたがこれまた勘違いで、大映制作、松竹配給の角川映画。ああ、ややこしい。当日は連休中にもかかわらず客の入りが少なく、オレも含めて3人くらいしかいなかった。どうしてこんなに面白い映画が評価されないのかと憤慨したが、『キネマ旬報』の邦画部門ベストテンに入り、いささか安心したものである。
ちなみに下敷きになったのはカルペンティエールの中篇小説、『バロック協奏曲』(邦訳あり。ただし入手困難)。オレの文章にしては珍しく、体言止めが多くなった。