『正義と微笑』や『パンドラの匣』を読みたまえ
唐突に太宰治の話をしたくなった。だいたい太宰の代表作というと、『津軽』あたりを思い浮かべるひとが多いわけだが、高校生や大学生がこんなものを読んでも面白いはずはないだろう。これは幼少年時代を懐かしみ、若いころの愚考を思い出して赤面逆上する年齢にならないと良さが判らないたぐいのものである。それよりはあまり知られていない作品だが、『正義と微笑』や『パンドラの匣』などの中篇小説のほうがよほど若者向けである。前者は東京のミッション・スクールに通う地方出身の大学生が主人公で、しかもその主人公がクリエーター志望という、いまでもよくあるタイプの話。できればこちらを読んでほしい。
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