英語と団塊の世代

「困ったときの四方田犬彦だより」と自認しているオレだが、またもや性懲りもなく引用する。

……外国語とマルクス主義をめぐっていまだにコンプレックスを抱いているという点においても、「団塊の世代」の多くは共通していた。外国語の行使能力のことではなく、外国語といえば英語以外には想像できないという態度のことである。わたしは自分がいささかでも遅れた世代であることを、幸運に思った。
『ハイスクール1968』(ISBN:4103671041

先日、まさしく団塊の世代に属する男性から「いまどき英語以外の外国語を勉強しても、何の意味もない」と遠回しに言われていささか立腹し、そのあとでとってつけたように「世界でもっとも美しい言語はフランス語だとは思うけどね」(こういうことを口にする手合いにかぎって、フランス語の最初歩の文法すら知らず、まともな英会話さえできない)と言われてかえって不快感が増したので、精神安定剤代わりにここに書き付ける。
そしてオレは英語よりもドイツ語が重視される学問を専攻した両親と、イタリア語が判らなければまともな仕事にありつけない妹を持ったことを幸運に思わずにはいられない。