携帯ラブストーリー

秒速5センチメートル 通常版 [DVD]

秒速5センチメートル 通常版 [DVD]

新潟では公開されなかったので(中央と地方ではもっとも格差が激しい文化ジャンルは映画であろう)、DVD鑑賞。ほとんど細部の描写の美しさだけでできあがっているので、ストーリーの紹介にはあまり意味がない佳品。
といいつつストーリーに言及してしまうが、第1話の「桜花抄」が、デビュー作の『ほしのこえ』と対照をなしているのが面白い。前者は中学生が携帯電話を持つのが珍しかった時代(自動販売機の缶コーヒーが110円なので、消費税が値上げされる直前、1995年ごろだろう。と、こうして細部を楽しめるのが新海誠の魅力である)だからこそ成立したラブストーリー(ハッピーエンド)で、後者は携帯電話が普及しきった時代だからこそ成立したラブストーリー(バッドエンド)。これは本人も意識しているのかもしれない。
それにしてもオレは文化庁メディア芸術祭向きのアニメが好きだね、つくづく。