性別誤認トリックはフランス語では可能か

男性だと思っていた登場人物がじつは女性だった(あるいはその反対)というトリックは推理小説ではよく使われるが、これはフランス語では可能なのだろうか。たとえば「嬉しいよ」や"I'm happy."といった科白から、その科白の語り手の性別を見分けるのは難しい。しかしフランス語では語り手が男性なら<>、女性なら<>となる。万事がこの調子なので、一人称小説でこのトリックを使うのはほぼ不可能だろうし、三人称小説でもかなり不自然な文体になるだろう。そしてあまりにも文体が不自然すぎて、すぐにトリックがばれるかもしれない。またこの理由で翻訳を断念した海外の推理小説もあるかもしれない。あるいはフランスでは本格ミステリが流行しないのはこんなところに原因があるのかもしれないが、これはオレの考えすぎかもしれない。
もしフランスの推理小説でこのトリックを駆使して成功を収めた作品があったら知りたいところだが、コメント欄に書くといわゆる「ネタバレ」になるのが悩ましいところである。まあ、フランスの推理小説事情に詳しいひとがいたら、メールなりメッセンジャーなりでお伝えください。