あとがきなき作家

こどもの体温 (ウィングス・コミックス)

こどもの体温 (ウィングス・コミックス)

それぞれのエピソードが緩やかな関連を持つ短篇連作集。うまいなあ。ボーイズラブ色は皆無(1ページだけそれらしいシーンがあるが)。あとは第1話と最終話に出てくる「森さん」がけっこう好み(笑)。
ところでよしながふみの単行本には、「あとがき」がほとんど付いていない。漫画やエンターテインメント小説、とりわけボーイズラブのように作者と読者のあいだに何らかの「共犯関係」が求められるジャンルでは、読者への目配せとして「あとがき」が多用される。数日前にTwitter経由で2ちゃんねるのアンチよしながスレッドを読んだのだが、学歴自慢が多い、「生まれ付いての天才」が多い(この作品なら第4話に登場する西園寺がそうだな)、要するに「何だか偉そう」という意見が主流だった。オレは彼女の作品からそのような印象を受けたことはないのだが、もしかしたら「あとがき」がない(読者に中途半端な媚びを売らない)のが、「何だか偉そう」と思わせる原因のひとつかもしれない。