困惑するばかり

人類は衰退しました (ガガガ文庫)

人類は衰退しました (ガガガ文庫)

ようやく読了。題名の通り、いわゆるホモ・サピエンスが衰退の一途をたどり、「妖精さん」と呼ばれる連中(生きるために栄養を取る必要がないが、ただの嗜好物として甘いものは大いに好む。高度な技術を持っているが、段階を追って成長することがない。「名前」という概念がなく、ホモ・サピエンスが与えてもすぐ忘れる)が地球を少しずつ支配しつつある未来を描いた作品。
といってもディストピア的な暗鬱さに溢れるわけでも、ホモ・サピエンスと「妖精さん」の心暖まる交流を描くわけでもない。ホモ・サピエンスと「妖精さん」の仲介役を取り持つ主人公の少女の視点を通して、「妖精さん」の生態の数々を淡々と描いているだけである。仮構の動物観察日記、とでも評すればいいのだろうか。「伏線のいくつかも胸を張って未回収」(「あとがき」より)なのだそうだが、このまま終わっても悪くはないような。
ああ、小説を読んでここまで困惑したのは久しぶりである。