猫と高山

紀伊國屋書店の公式サイトで、高山宏が書評ブログをはじめている。
http://booklog.kinokuniya.co.jp/takayama/
何といっても文体にむかしながらの張りが戻ってきたのが嬉しい。数年前までの高山宏は一面識もないこちらまで心配になるくらい調子の狂った文章を書いていたが(特に『ユリイカ』の矢川澄子追悼特集号に書いた文章には唖然となった)、『アリス狩り』三部作のころを思わせる筆致が戻っている。いささかの大言壮語癖はご愛嬌というか、このくらいの大言壮語癖があってこその高山宏である。
なお各記事の冒頭にあるまえがき的な文章の「つづきを読む」をクリックすると判るように、彼は首都大学東京を辞任する決意を固めたようだ(「『石原』大学を辞める決心がついたのと、紀伊國屋書店から書評ブログのお誘いをいただいたのが同じタイミングというのも、何かの機縁である。ぼくの中に貪婪の書評魔が帰ってきた」)。高山宏石原慎太郎による都立大「改悪」を何とか喰い止めようと必死になっていたのは、知るひとは知るところだろう。ここ数年の高山宏が「調子外れ」の文章しか書けなかったのも、都立大再編にまつわる心労のせいだったのかもしれない。ネット上での淡い交流しかないひとも含めれば、都立大出身の知り合いがそれなりにいるオレとしては、嬉しいような、淋しいような。
それよりも何よりも、猫と高山先生のツーショット!