河出さん、ちょっと……

幸福は永遠に女だけのものだ (河出文庫)

幸福は永遠に女だけのものだ (河出文庫)

高校生のときは河出文庫澁澤龍彦種村季弘にお世話になったオレだが、最近の河出書房の「澁澤商法」には首をかしげることが多い。そのいい例が上の本だ。これは澁澤の女性論やエロティシズム論をまとめた文庫オリジナル商品らしいのだが、自著のタイトルに詩人のようなこだわりを見せていた生前の澁澤なら、絶対に付けないダサいタイトルだ。実際に澁澤が書いたエッセイからタイトルが採られているようだが、少なくとも澁澤本人はそのエッセイを表題作にしようとは思わなかったはずだ。
どうでもいいが『思考の紋章学』『胡桃の中の世界』『夢の博物誌』といった何が論じられているのか見当も付かないがとにかく魅力的なタイトルと、「永遠の文学青年」という形容がぴたりと当て嵌まる容貌に魅せられて澁澤を読むようになった女性は多いのではあるまいか。もちろんそれを非難しているわけではない。