あなたは日本語を褒められたいですか
いわゆる「嫌韓」や「嫌中」とされるひとは、海外で韓国人や中国人に間違えられた経験はないのだろうか。またもし間違えられたら、「あんな連中と一緒にするな!」と猛然と怒って、英語なりその国の公用語なりで激しく抗議するのだろうか。オレはフランスで中国人に、タイで韓国人に間違えられたが(欧米を旅行していて中国人に間違えられなかった日本人なんて、ほとんどいないと思うのだが)、「あ、そうなんだ」以上でも以下でもない感情しか抱かなかった。「海外で韓国人に間違えられる」だけで、韓国に対して抱いている無意味な嫌悪は消し飛んしまうと思うのだが、楽観的すぎるだろうか。
思い出しついでに書いておくが、四方田犬彦は「はじめて日本語を褒められた日」というエッセイで、自分が「やたらと日本語が上手な外国人」に間違えられたことがあるのを語っている。一度目は韓国に留学中に、在日コリアンから韓国人だと思われ、二度目はアメリカに留学中に、当時は皇太子妃、いまでは皇后と呼ばれる女性から日系アメリカ人だと思われたとか。「日本人の内側に留まりながらも、あたかも日本人ではないかのような視座を保ちつつ、生起する一切を批評すること。日本語をさながら外国人のように書きながら思考すること」
- 作者: 四方田犬彦
- 出版社/メーカー: 立風書房
- 発売日: 1994/03
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