関係代名詞の恐怖

SFファンにはいまさら説明するまでもないが、山田正紀の『神狩り』は「人間は関係代名詞が七重以上に入り組んだ構文を理解できない」というのが重要な設定になっている。オレは今日の今日まで(すなわち20年以上も)、これには学術的な根拠があるのだろうと思っていたのだが、まったくの創作だそうだ。山田正紀は大学を休学して海外を放浪中、自分の喋る英語が相手に通じないという経験を重ねた。それなら関係代名詞を多用すれば少しはましになるだろうと思いきや、さらに通じなくなったとのこと。そこから上の設定が生まれたのである。以上の出典は『読書会』(ISBN:4198622795)。中学時代、関係代名詞という概念がどうにも理解できずに英語の授業から脱落した苦い経験を持つオレには、妙なリアリティーを感じさせるエピソードである(実体験なのだから、リアリティーがあって当然なのだが)。ちなみにオレが関係代名詞の何たるかをしっかり理解できるようになったのは、大学になってフランス語を学んでから。それまでどうやって英語の授業を切り抜けていたのか、われながら大いなる謎である。