exploitez-moi!

「病気療養中」を言い訳にして実家でだらだらしていても罪悪感が募るばかりだし、東京に復帰してライター活動を再開できるめどがなかなか立たないので、せめてアルバイトにでも精を出そうといまさらながらに思ってネットで調べた人材派遣会社へ。こういう会社に行くのははじめて。システムの説明を聞き、イメージビデオもどきを見ながら、「『やりがい』の搾取」という流行語を索漠たる気持ちで思い浮かべる。
そしてこの暗鬱な政令指定都市ではオレのスキルや経験に相応しいアルバイトがほとんどないことを思い知らされ、より索漠たる気分になる。オレは搾取される対象にすらなれないのか!

「あたしは名前を誰とは言わないけれど、あなたの古い友達はみんなあなたを笑っているわよ。あなたのまえではどんなことを言っているか知らないけど」
島尾敏雄『死の棘』