「正しい」日本語はどこにある?

書店で見かけて気になっていて、id:Tez:20070409:p1を読んで購入にいたる。オレは以前、
旧かなづかい(歴史的かなづかい)に対して異様な執着を示す一部のネット利用者を小馬鹿にする文章を書いて、ちょっとした騒動を起こしたことがある。じつはオレだって旧かなづかいのほうが文法的にも語源的にも「正しい」のを認めるのにやぶさかではないのだが、それでもやはり彼らの妄執ぶりには異様なものを感じる。なぜなら近代以降、日本語の表記は揺れに揺れつづけており、「旧かな・旧漢字」対「新かな・新漢字」という対立だけで捉えきれない多様性を持っているからだ。にもかかわらず、なぜ彼らは「旧かな・旧漢字」だけにこだわるのか。ただ単に小馬鹿にするだけではなく、もっと深いレベルでこの問題を考察する上での参考になりそうなので買ったのだ。
ちなみに日本語表記の揺れの多様性を知るには、紀田順一郎の『日本語大博物館』も参考になる。ワープロが普及する前までは「ビジネス文書はすべてカタカナで書こう。そうしないと同じ内容の英語の書類を書くよりも時間がかかり、国際的な競争に追いつけない」という意見が一定の影響力を持っていたとか、ちょっと驚くようなエピソードが満載である。