おかしなわたし

猿虎日記 - 野球のおもひで
http://d.hatena.ne.jp/sarutora/20070401/p1

 ところで、少し話しはずれるのだが、「みんなが教えられなくても知っている「ルール」を自分だけが知らない」という思い、あるいは、「基本的な事柄を教えられなくても理解する能力が自分には欠如しているのではないか」という思いには、長い間さいなまされた。(強調は原文ママ

同じく少し話はずれるのだが、オレは中学か高校のときに、これを裏返しにしたような短篇小説を書いたことがある。主人公はある日、夕食のときに妻から「あなたの箸の持ちかたはおかしい」と言われる。これがきっかけで、主人公はそれまで当たり前のようにやってきた行動が、他人の目から見たらすべて不自然で非常識なのではないかという疑念に取り憑かれる。たとえばトイレでお尻を拭くとき、玄関で靴を履いて紐を結ぶとき。しかし「お尻の拭きかた」「靴の履きかた」なんてものをいまさら他人に質問できるはずもなく、次第に精神的に追い詰められて発狂する、というストーリーだった。主人公の精神が崩壊する過程を一人称で書くのは、自分にも狂気が乗り移ってしまいそうな、ちょっとぞっとする体験であった。筒井康隆を愛読している自意識過剰気味のティーンエイジャーが思い付きそうな話と言ってしまえば、それまでであるが。
赤塚不二夫の漫画にも、「これまで無意識的にやってきたことを意識的にやろうとしたら、何もできなくなってしまった」という話があったと記憶する。
だからどうした、と結論を求められても困るのだが。