葉月里緒奈はいるだけで怖い

黒沢清『叫』を観る。推理小説ファンならぐっとくる設定だが、黒沢作品が推理小説的に納得できる結末を用意するはずがないので、そうした期待はいっさい持たなかった。案の定、持たずに正解であった。『CURE』もそうだったと記憶するが、事件にまつわる「秘められた過去」が唐突に提示され、それが物語に有機的にからんでくるのかと思いきやそんなことはなく、唐突なものは唐突なままで放り出される。それもこれも「黒沢清だから」という理由で何となく許せてしまうのは、クリエーターにとっては幸福な環境なのだろうか。オレの頭が悪すぎて、細かい伏線を理解できなかったという可能性も捨てきれないが。
それから日本映画では久しぶりに、アカデミックな作曲技法にもとづいた劇伴音楽が聴けた気がする。音楽の硨島邦明の名はまったく知らなかったが、ネットでざっと検索したところ、職人的に大量のCM音楽やドラマ音楽を手掛けている。しかし公式サイトなどを見ても、どんな経緯で音楽家になったのかがよく判らない。プロになる前の履歴は公開しない主義のようだ。年齢すら不明。ちょっと気になる。

追記

ブログ上での感想をチェックしたところ、「黒沢作品にしては判りやすかった」という意見が多く、ああ、やはりオレの頭は悪いのか。ストーリーを追いかけるのが途中から面倒になって、ただ映像を楽しむのに徹したわけだが(非常に言い訳がましい)。