家族で楽しめない音楽

世の中には「現代音楽」や「前衛音楽」と呼ばれている音楽がある。オーケストラが不協和音を奏で、打楽器が不規則なリズムを叩き、ソプラノ歌手がヒステリックに絶叫する。と、いささか通俗的にまとめればこういう傾向の音楽である。こういう音楽が盛んに作られたのはドイツ、イタリア、フランス、東欧、日本と、いずれも第二次世界大戦で深手を負った国で、戦勝国のイギリスやアメリカではあまり定着しなかった(旧ソ連では前衛音楽は「ブルジョワ的」であるとして、作曲がほぼ禁じられていた。軍事独裁政権時代の韓国でどんな芸術音楽が作られていたかは、まったく知らない)。これはかなり興味深い事実だと思うのだが、指摘するひとはあまりいない。オレの思い込みにすぎないのだろうか。