師弟

四方田犬彦「先生とわたし」を読了する。個人的な回想から離れて「師弟とは何か」を問い始める「間奏曲」から文章の密度が上がり、内容が純化される(もちろんそれまでがつまらないわけではない)。ここを本当に単なる「間奏曲」だと思って読みすごすと、東大の学内政治を描いたゴシップ譚だと勘違いするひとが出てくるかもしれない。「はたして人よりも知識をもっているというだけで、それを職業として生計を立てていてよいのだろうか」