そんなにリスト(not フランツ)が好きか?

音大生なら聴いておきたい100曲
http://homepage3.nifty.com/jy/classes2005/100.htm
このリストについてはまとまった文章を書きたいと思っていたのだが、taninenさんのブックマークコメント

音大生は自分のレパートリー以外は強制でもしないと興味を持たない。それより、どうしてこんなにブックマークが集まるのかに興味がある。これだけ見たって何も分からないのに。そんなにリストが好きか?

にオレの言いたかったことがすべて含まれていたので、大いに気勢をそがれた。どうしてくれる。冒頭の「音大生は自分のレパートリー以外は強制でもしないと興味を持たない」には反論の余地がない。何しろ自分の妹という、具体的すぎる具体例を知っているのだから。
やはり気になるのは、なぜこのリストがはてなブックマーク人気エントリーになっているかである。大文字の「教養」が崩壊した時代だからこそ、この種のリストにすがりつくひとが増えるのではないか、などと凡庸なことを言ってみたくもなる。
たしかにこれは「音大生のための」リストとしては、過不足なくよくまとまっている。しかし「クラシック初心者のための」、あるいは「ポピュラー音楽ファンのための」リストとして有効に機能するかどうかは疑問である。クラシックの予備知識がまったくないリスナーがこのリストに忠実にシーケンシャルにCDを集めたところで、「クラシックといってもいろんな曲があるんだなあ」という感想しか抱かない可能性は高い。リストとは無関係に「おや?」と思える作品があったら、そこをきっかけにして同心円状に興味の範囲を広げていくほうが健全だし、知識が単なる知識として終わらない。
これくらい特定の芸術ジャンル(漫画やゲームも含む)に夢中になった経験があるひとなら判るはずなのに、なぜこのリストが人気を集めているのか、という問いにまたもや戻ってくるのだが。

追記

という文章をアップロードした直後にtaninenさんが自分のブックマークコメントを修正した上で、はてなダイアリーで疑問点をまとめていた。
http://d.hatena.ne.jp/taninen/20070201/p2
その通り、としか言いようがない。