犯罪のディスクール
- 作者: 浜井浩一,芹沢一也
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/12/13
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 167回
- この商品を含むブログ (94件) を見る
それよりも何よりも第4章である。ちょっと感じの悪い言葉を使うなら、いまの日本の刑務所が社会的弱者の「姥捨山」になりつつある現状は、読んでいて暗澹たる気持ちになる。これに較べれば花輪和一の『刑務所の中』でさえ、牧歌的な世界に思えてくるくらいだ。ハンディキャップがあるがゆえに「まともな」仕事に就けず、生きるために仕方がなく罪を犯し、出所したところで「前科者」という新たなるハンディキャップを負うがゆえに社会復帰はさらに困難になり、またもや刑務所に舞い戻ってくる。いま多くの刑務所が過剰収容になっているのは、凶悪な犯罪者が増えたからではない。こうした刑務所以外に行き場がないひとたちがいるからなのだ。この構造を変え、犯罪者が「再チャレンジ」しやすい環境が実現された国こそ、「美しい国」だと思うのだが、いかがだろう。
と、性懲りもなく「おしゃべり」に打ち興じるオレの愚かさ。