「カヲル君って呼んでいいですか」

妄想少女オタク系 2 (アクションコミックス)

妄想少女オタク系 2 (アクションコミックス)

主人公が特殊な属性(この作品なら「腐女子」)を持っているラブコメは、意外と難しい。主人公と恋人の関係が進展するにつれ、主人公を特殊な属性の持ち主にした必然性が失われてしまいがちだからだ。あの『げんしけん』でさえ、「後半はただの学園ラブコメであって、オタク系サークルを舞台にした意味がなくなった」と批判されることがある。そのくらい人間の恋愛はワンパターンで、新味を出すのは難しいというわけだが(何を訳知り顔に語っているのだ、オレは)、これはいまの設定のままで長続きする気がする。なぜなら作者にカップルを成立させようという意志があまり感じられないからだ。阿部くんがオタク文化への理解を深めることも、浅井さんが腐女子的な思考パターンから抜け出すこともなく、高校を卒業するまで延々とすれ違うのではないか。オレにとってはそのほうが面白そうなのだが。