目玉の話

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)

光文社文庫が西洋古典の新訳に力を注いでいる話は知っていたが、まさかこんなものまでが「古典」の殿堂入りをしていたとは。「目玉の話」とは聞き慣れないタイトルだが、生田耕作が「眼球譚」として訳した作品と同じもの。訳者の中条省平によれば、原題の"Histoire de l'œil"は子供でも知っている単語だけで構成されており、そのニュアンスを活かすために、あえて散文的に訳したとのこと。それなら村上春樹の翻訳を真似て原題をそのままカタカナ表記するのも悪くなさそうだが、「イストワール・ドゥ・ルイユ」ではさすがに何のことだか判らない。
戦後生まれの研究者によるバタイユのポルノグラフィーの新訳をイエス・キリストの生誕を祝う日に読むのは、なかなか背徳的な感じがするが、クリスチャンじゃない人間がやってもあまりインパクトがなさそうだ。