近代的無差別大量殺戮戦

鋼の錬金術師(15) (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師(15) (ガンガンコミックス)

これまでの「ハガレン」では断片的にしか描かれてこなかったイシュヴァール内乱について、詳しく語られた1巻。ゆえにエドもアルもほとんど登場しない。おまけにこの作者が得意とする唐突に挿入されるコメディーシーンもなく、近代的な無差別大量殺戮戦の悲惨さ、愚劣さがきわめてシリアスに描かれている。従来の痛快な冒険活劇としての「ハガレン」を好んでいた読者にとっては不評な巻になるかもしれないが、オレは高く評価する。ちなみに作者はこの巻を描くために、アジア・太平洋戦争に従軍したひとたちに詳しく取材したそうだ。