独墺系

「オーストラリアと紛らわしい」という理由でオーストリアの日本語表記が「オーストリー」に変わったことが、ちょっとした話題になっている。幸いにも子供のころから地理が得意だったオレはこのふたつの国を混同したことはないのだが、どうにもオーストリアと区別が付かなくなってしまう国がある。それがドイツである。正確に言えば、ある人物がオーストリア人なのか、ドイツ人なのかがどうにも覚えられないのだ。
クラシック音楽の世界ではドイツとオーストリアは「独墺系」とまとめて呼ばれている。それくらい、このふたつの国の出身の作曲家の作風が似ているからだ。たとえば諸君、バッハ、ハイドンモーツァルトベートーヴェンシューベルトシューマンブルックナーブラームスマーラーヨハン・シュトラウスリヒャルト・シュトラウスシェーンベルクと言われて、誰がドイツ人で誰がオーストリア人なのか、即答できるだろうか。オレはできない。たとえばカトリック国、オーストリアにふさわしい退嬰的なオペラを量産したリヒャルト・シュトラウスがドイツはミュンヘンの出身だったことなど、にわかには信じがたい。さきほどWikipediaを調べて、「ドイツ音楽の良心」然としたカール・ベームオーストリア人だと知って、混乱はいや増した。
さらにはオーストリア国籍の売れない画家がドイツ第三帝国のフューラーとなり、オーストリアを合併していい気になっていた史実が、オレの混乱に拍車をかける。いったいこの両国の関係はどうなっておるのか。