アタシに言及して!

高田理惠子『グロテスクな教養』(ISBN:4480062394)読了。ニューアカを論じた第3章がいちばん面白かった。まあ、自分自身がリアルタイムで知っているムーブメントだったという個人的な事情が大きいのだが。
ちなみに高田は「自分の文章がどこかで著名文化人に言及されたらいいな、編集者の目に留まらないかな」と望んでいた1984年当時の大塚英志を参照しつつ、「ニューアカは著者たちの特権的友情共同体のような外観を整えていたのだ」と指摘する。この図式はどこかしら現在の「ブログ論壇」を連想させる。「自分のブログがどこかで著名ブログにリンクされたらいいな」とひそかに望み、トラックバックやオフライン・ミーティングによって形成される「友情共同体」に参入することを狙っているブロガーは多いのではないだろうか。天に唾するがごとき行為なので、あまり詳しく論じないが。でもいまの「ブログ論壇」を支えているのが、「『ニューアカみたいになりたいな』と思ってやったので、とても悲惨なことになっている」(大澤真幸)世代の末尾に属するのは指摘しておきたい。

あり余るほど出されている雑誌に何かを書き、あり余るほど出版される本のなかの何冊かを自著と呼ぶことは、もはや特権的な振舞いではない。