形而下

山田正紀『サイコトパス』読了。このひとの小説は形而上的な大風呂敷を広げるわりには、ネタの処理の仕方が形而下的というか、身も蓋もないことが多い。このギャップゆえに、しばし「中盤までは面白いのに、ラストが物足りない」と評されるのだろう。この「物足りなさ」を含めて山田作品を愛するオレには面白く読めるのだが。まあ、ファンでなくても、笑うに笑えないギャグが散りばめられたニューロティックなアクション小説だと思えば、楽しく読めるかもしれない。

しかし「笑うに笑えないギャグが散りばめられたニューロティックなアクション小説」を楽しめる読者など、果たしてどのくらいいることやら。これはさすがに、山田正紀のファンよりも少ないかもしれない。