広島死闘編

仁義なき戦い 広島死闘編」[amazon]。ほぼ同時期に同じ配給会社が作った仁侠映画なのに、昨日観た「昭和残侠伝 死んで貰います」に較べると格段にうるおいがなく、殺伐としている。それは監督(マキノ雅弘深作欣二)の資質の違いなのか、時代背景(昭和初期、昭和30年代)の違いなのか、舞台(東京深川、広島)の違いなのか、シリーズのコンセプトの違いなのか。と、ここまで書いて、殺しに使われる道具が日本刀かピストルかの違いに由来することに思い至った。近代テクノロジーの発達による尊厳なき大量死の時代というか何というか。

もっとも昭和初期のやくざが実際に高倉健演ずる花田秀次郎のように侠気溢れる連中ばかりだったのかどうかは判らない(たぶん違うのだろう)。あるい1970年においてすでに、昭和初期の東京下町は幕末や江戸中期のように「理想化された過去」となっていたのかもしれない。