アマゾンだけに頼るなよ(自戒)

amazon.co.jpマーケットプレイスでは驚くような高値を付けられているこの本、名古屋にあるネット古書店で1790円(送料込み)という良心的な値段で売られていたので、衝動的に注文する。ありがとう、シマウマ書房さん! 嬉しかったので宣伝する。あまりにも衝動的だったので、どのネット古書店検索サイト経由だったのか、速攻で忘れた。母校(修士だけだけどな! しかもなぜか4年もいたけどな!)の図書館に行けば読めるのだが(現役院生時代にそこで借りて読んだ)、往復660円の交通費がかかり、しかも必要な箇所をすべてコピーするのを考えれば、充分に安い買い物だろう。かくして「本人の著作も含めて参考文献が揃いすぎて、何を読んでどう論じたらいいのか、かえって迷走する症候群」という、文学研究ではありがちな状態に陥るのであった。
なお来年は太宰治大岡昇平の生誕百年になる。ほとんどすべての著作がいまでも文庫で簡単に手に入る太宰はともかく、重要な作品がけっこう絶版になっている大岡は、これを機会に復刊されたら喜ばしい。まさに『常識的文学論』こそ、戦後文学を研究している国文科の学生、院生、大学教員は必携の1冊だと思うのだが。なぜこの本をどの出版社も文庫にしようとしないのか、かなり不思議。あまりにも論争的な文章が多すぎて、論争相手の遺族が故人の名誉を守らんと出版を阻止しているのだろうか(と、ありえない妄想)。この文章、感嘆符と丸括弧が多すぎる。