目次は巻頭に!

フランス語の本に触れたので、もう少し話を続けてみよう。それまで日本語や英語の本しか読んだことのない日本人がフランス語やイタリア語の本を買うと、だいたいは戸惑う。いったいどこに目次があるのかがすぐには判らないからだ。だいたいは巻末にあるのだが、これは不便で仕方がない。若干の編集経験がある者として言うなら、まず巻頭に目次を持ってきて全体のページ数の帳尻を合わせるのは、けっこう面倒な作業である。それならまずは序文と本文を先に作って、目次はあとから付けちまえ、というのはいかにもゴロワーズというか、ラテン的な大らかさを感じさせる。もっともこれを不便と感じるひともいるようで、イタリア人のウンベルト・エーコは『論文作法』(これは文系・理系を問わず、論理的できちんと構成された文章を書こうとしているひとにはお勧め)という本で、「イタリアやフランスはイギリスやドイツを見習って、目次を巻頭にもって来るべきだ」と訴えている。あとは背表紙の文字が、下から上に読ませるようになっているのも不可解である。探しづらいのではなかろうか。