2007-12-26 文学少女と文化系女子 “文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)作者: 野村美月,竹岡美穂出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2007/12/25メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 274回この商品を含むブログ (239件) を見る今回のメインディッシュは、ドイツ・ロマン派風のスパイスを効かせた泉鏡花の『夜叉ヶ池』。しかし毎回のようにおびたたしい数の文学者の名前が出てくると、「誰に言及していないか」が気になってくる。具体的にはマラルメ以降のヨーロッパの前衛文学と、「進歩的知識人」による日本の戦後文学である。単に作者の好みにすぎないと言われればそれまでだが、好みとは優れてイデオロギー的なものであり、この辺に言及するかどうかが、古風な「文学少女」と現代的な「文化系女子」の分水嶺になるのではないだろうか。 それにしても読者層がまったく被らない複数の媒体で、同じ日に「森茉莉」という文字を見掛けるとは思わなかったよ。