今日買わなかった本

ネット君臨

ネット君臨

近所の書店で見掛ける。タイトルがちょっと面白そうだったので立ち読みしたが、3分ほどで自分にとってはどうでもいい本だと判断して棚に戻す。ネットのマイナス面ばかり取り上げたがる識者のかたがたが、「ほーら、ネットの世界はこんなに怖いんですよ。恐ろしいですねえ」とネットに詳しくない中高年を煽っているだけにしか思えなかった。この内容を真に受けて自分の娘や息子にネット禁止令を出す親がいたら、オレなら「これでも読めよ」と荻上チキ『ウェブ炎上』(ISBN:4480063919)あたりを差し出すだろう。しかし親は「26、7歳の大学院生に実社会の厳しさが判るか」と付き返すかもしれない(と、だんだん妄想めいてきた)。
きちんと読んでいない本の悪口を書くのもこのくらいにするが、ネットをめぐる議論は『ウェブ炎上』の譬喩を借りれば*1、それこそ「自分に都合のいい言説を選択し、多くの人と同調しあうことでその声を大きくする」エコーチェンバーのなかで、おたがいに通じないことを言い合っているのだなあ、との感を強くした。そういう状況を打破するのが活字メディアだと思いたいのだが……

*1:もとはニコラス・ネグロポンテが言い出したようだが。