ホモソーシャル空間としての2ちゃんねる

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

ウェブそのものにも、ウェブをめぐる議論にも食傷気味のオレには、新しい発見に乏しい本だったが、一般メディアが「ネットの危険性」や「ネット固有の現象」として報道しているものに勝手に怯えているひとにとっては、何らかの刺戟になるであろう。しかしそういうひとは、このブログをそもそも読んでいないわけか。あとは検索エンジンに依存するだけではなく、それに対するオルタナティヴな手段が必要との主張は、自著(ISBN:4774124214)の主張とかぶるところがあった。もっともオレが念頭に置いていたのは、検索エンジンよりは大手の個人ニュースサイトなのだが。
ところであるフェミニスト2ちゃんねるを「ホモソーシャルな空間」と呼んだそうである。著者はそれが偽りであり、「2ちゃんねらー」といってもいろいろなひとがいるのを実証しているのだが、思わずホモソーシャルだと言いたくなる気持ちは理解できなくない。腐女子関係のようにあきらかに女性の参加者が多いスレッドでも、なぜか2ちゃんねるでは男性的な言葉遣いが好まれるからだ。それゆえに発言を読んだだけでは、性別を同定できないことがある。個人サイトやブログの書き手の性別は何となく見当が付くのが、これは私生活に関する記述から多いからで、言葉遣いが云々とは関係がないかもしれない。
とにかくオレは「2ちゃんねるは男性的な口調の書き込みが多い」という印象を持っている。この認識は正しいのだろうか。そしてもし正しいとすれば、それはいかなる理由のためなのだろうか。