日本語で発表された小説以外の散文作品十選
いまはてなダイアリー上で、「私家版世界十大小説」なる企画がはやっているので、便乗する。しかしオレは「世界」の「十大」「小説」を選ぶ傲慢さを持ち合わせていないので、1945年8月15日から2000年12月31日までに日本語で発表された小説以外の散文作品から、これといって深い理由もなくつい再読してしまうものを選ぶ。このくらい条件を狭めないと、「十大」はとても選べない。順不同。
- 高橋悠治「小林秀雄『モオツァルト』読書ノート」
- 柴田南雄『レコードつれづれぐさ』
- 蓮實重彦『反=日本語論』
- 澁澤龍彦『玩物草紙』
- 大岡昇平『ザルツブルクの小枝』もしくは『成城だより』
- 沢木耕太郎『テロルの決算』もしくは『人の砂漠』
- 赤瀬川原平『東京ミキサー計画』*1
- 四方田犬彦『クリティック』*2
- 坂本龍一「千のナイフ」セルフライナーノート
- 太宰治「如是我聞」
- 原武史『大正天皇』
と、気ままにリストアップしていたのだが、途中から音楽関係を除けば「坪内祐三の学生時代に滋養となった100冊の本」と多くがかぶっているのに気付き、愕然となった。別にあのリストを意識しながら選んでいたわけではないのに。
なおわが愛する坂口安吾は1945年8月15日以前に書かれたもののほうが圧倒的に優れているので、このリストからは漏れることになった。
ところでなぜこの国では、たかが「小説賞」にすぎないものが「文学賞」などと名乗っているのか。思い上がりもはなはだしい。この疑問が頭にあるので、「日本語で発表された小説以外の散文作品」という倒錯した条件を課したのだが。