音大に進むならチェロ!

新聞広告を読んだだけで不快になるプレジデントFamilyなる雑誌があるが、マゾヒスティックな気分にかられて書店で実際に立ち読みしたら、予想を上回る不快感に見舞われた。適当にあたりをつけて最初に開いたページが美大・音大のコーナーだったのが、われながら呪われているとしか思えない。美大や音大さえ年収と就職率を尺度にして価値を判断する記事内容には、ほとんど感動さえ覚えた。
なお同誌によれば演奏家人口が少なく、仕事が回ってきやすいから、音大に進学するのならチェロ専攻が狙い目だそうで。そんな理由で子供にチェロを学ばせる親など、ロストロポーヴィチの怨霊に祟られて地獄に堕ちてしまえばいいのだ。あとはN響、読響、都響が、年収がいいのでお勧めの就職先とされていた。そういう問題かね、プロオーケストラの団員になるというのは。
こんなことを書くと、「とてもニューアカ以降の思想風土を生きている人間とは思えない素朴すぎる芸術至上主義者だ」と批判されるかもしれないが、ここまで身も蓋もなく「人間、学歴と年収がすべて」と言ってのける雑誌を読んでしまうと、反動的な芸術至上主義者になりたくもなるのだよ、うがー。