就職の疑問(2)

北村薫の「円紫師匠」シリーズと木尾士目の『げんしけん』には共通点がある。出版関係を中心に就職活動をしている主人公が編集プロダクションなるものを知り、「こんな会社があるのか」と驚くシーンがあることだ。たしかに編集プロダクションなんて、一般にはあまり知られていないのかもしれない。それに編プロは即戦力の経験者が期待されるので、新卒向けの求人広告は出さないことが多い。オレだって学部生のころは編プロなるものを知らなかった。それではいつ何がきっかけで知ったかというと、どうにも記憶が漠然としている。ちなみにオレは出版のことをよく知らないひとに編プロを説明するときは、「出版社の下請けみたいなもの」と言っている。この譬喩が適切かどうかとなると、自信はないが。
ところで編集プロダクション - Wikipediaは、労働条件のよくない編プロで働かされた人間の恨み節がそこはかとなく伝わる名文である。

入社倍率の高い出版社への就職が果たせなかったマスコミ志望者が多く勤める。多くの場合、激務かつ薄給で雇用されている。一般的に、出版社の編集者に比べ受け持つ仕事量が多く、拘束時間も長い。人手不足のまま経営している企業も多いため、入社後すぐに責任のある仕事を任せられることも少なくない。
また、編集プロダクションの立ち上げには、大掛かりな設備投資が不要であるため、自称フリーランスのライター達の溜まり場になっているケースもある。

「自称」は余計な一言だろ、「自称」は。