おちゅうしゃ

朝青龍をめぐる一連の騒動ですっかり忘れられた感があるが、それまでの相撲ファンのあいだでホットだったのは「週刊現代」の報道に端を発する八百長疑惑であった(この雑誌はなぜか角界のスキャンダルを定期的に報道するよね)。「ホット」というか、「また『現代』と協会がやりあっているのか」というのが個人的な感想なのだが。
ここで気になるのは岡野玲子の『両国花錦闘士』(1989〜1990)である。この漫画には主人公が「注射」(金銭を受け取る代わりにわざと負けること)を依頼されるシーンが生々しく描かれている。オレは「これは問題になるんじゃないのか」と思っていたのだが、日本大相撲協会がこの漫画にクレームを付けるといったことは起こらなかった。フィクションだから大目に見られたのか、それとも協会のお偉方のチェックは「スピリッツ」誌までには及ばなかったのか、その辺は判らない。ただしこの漫画、えらく中途半端に連載が終わった記憶がある。もしかしたら協会と編集部のあいだで、何かの「手打ち」があったのかもしれない。
憶測だけであれこれ書いても意味がないのだが、ふだんは八百長報道にあれだけ神経質になっている協会がなぜこの漫画を公の場では批判しなかったのか、いまだに不思議に思うのであった。もしかしたらオレが見逃していただけで、何らかの声明を出したのかもしれないが。