漫画はブルジョワジーの愉しみ?

たとえば大塚英志は漫画が「安い」娯楽であるのにこだわっている。それよりも詳しい論旨は知らないのだが、どうもこうした発言には違和感がある。
いまの漫画単行本の主流はB6判で定価は600円前後。そしてちょっと人気のある作品は10巻くらい続くので、あとからまとめて買おうとすると、下手な専門書よりも金銭が必要に、下手な辞書よりもスペースが必要になる。はっきりいって、いわゆる「良書」しか読まないほうがよほど経済的である。これでは漫画喫茶や新古書店が流行するのも無理はない。よほど広い部屋に住んでいて、よほど可処分所得が多くなければ、自分が読んだすべての漫画を保存するのは難しい。
とにかく「狂ったようにたくさん描かせ、狂ったようにたくさん出版しないと成り立たない」という業界の構造を変えるのが先で、漫画喫茶や新古書店を目の敵にしている場合ではないと思うのだが。