犬を連れたおじさま

作家の犬 (コロナ・ブックス)

作家の犬 (コロナ・ブックス)

本日の買い物。アマゾンで注文したので、まだ現物は届いていない。オレは犬よりも猫のほうが好きなので、愛犬家の作家といわれても筒井康隆中野孝次近藤啓太郎くらいしか思い浮かばないが、それでも実家でなかば強制的に犬の世話をすることになり、この馴れ馴れしい動物への愛着が増した。
ここで小田嶋隆のブログを引用する。

 昔、中野孝次さんだったかが、どこかで
「犬を連れていることの利点のひとつは、真昼間に住宅街を歩いていても怪しまれないことだ」
 という主旨のことを書いていた。
「白昼、住宅街を歩いただけで、自分が怪しまれていると思うのは、この人もちょっと神経症気味だな」
 と、その原稿を読んだ当時、まだ二十代だった(と思う)私は、そうに思ったものだが、自分が四十台半ばを過ぎてみると、確かに世間は、自由業者のオヤジに対して変質者を見るような視線を返してくるものなのであった。
ハラスのいない日々

そうなのだろう。オレの実家は幸いにも住宅街と学生街が入り混じった場所にあり、オレもまた「ちょっと老けた大学院生」に見られるが、そうでもなければ犬の散歩以外の用件で平日の昼間に外出するのをためらうだろう。だいたいこの地方都市で、「フリーライター」なんてのは職業のうちに入らない。犬も連れぬまま迂闊に小学校に近付こうものなら(実家から自分の母校のI小学校まで散歩するのが、オレの定番なのである。歩き慣れた道なので)、それだけで通報されかねまじきご時世である。犬畜生には感謝しなければならない。