同人誌出版と商業出版

巣鴨駅前のネットカフェより更新。椅子が低くて使いづらいことこの上ない。オレは脚が長いのだぞ。
池袋の豊島公会堂における「同人誌と表現を考えるシンポジウム」に参加する。第一部は印刷会社、同人誌即売会、同人誌販売店など、「当事者」による現状報告。同人誌出版では商業出版における編集者(出版社)に相当する存在がないために、結果としては印刷会社や販売店が編集者的な役割を担っているのを知る。オレは同人誌出版ではどんなに猥褻な表現があっても「オール・オッケー」だと思っていたのだが、むしろ商業出版よりも厳しい制約が課せられることがあるようだ。これはまったく知らなかった事実である。とりわけコミティア関係者(だったと記憶する)による、「ボーイズラブ系の女性同人誌作家は、自分が描いているものが『猥褻物』だという認識が低い」との発言が印象に残る。
第二部はいわゆる「識者」を集めたものの、司会者が「同人誌文化は素晴らしいものであり、安易に規制してはならない」という素朴な信仰に支えられているため、議論が広がらなかった恨みが残る。質疑応答の時間が短かったためにボーイズラブ関係で質問したくてもできなかったことを、シンポジウム終了後に藤本由香里氏に問う。彼女も「ボーイズラブ系の女性同人誌作家は、自分が描いているものが『猥褻物』だという認識が低い」という発言に関心を持っていたが、それはただ単に現行法では男性同性愛を描いても重大な違法にはならないからで、それ以上の意味はないと考えているようだ。オレは男性の性意識と女性の性意識に大きな差異があり、それがボーイズラブ作家の創作姿勢に繋がっていると思っているのだが、彼女はこの意見には同意しなかった。なお藤本氏は以上のやりとりをブログや商業媒体で公表してもかまわないが、そのさいは「鈴木さんというライターのフィルターを通しての見解であり、自分の『真意』を直裁に伝えたものではない」のを明記するように伝えられた。ゆえにオレが書いたこの文章を、あたかも藤本氏の「公式見解」であるかのように引用・転載するのは避けるよう、ここで明記する。