「3年間の学費約300万の力を受けてみよ〜〜!」

実録!関東昭和軍(2) (モーニング KC)

実録!関東昭和軍(2) (モーニング KC)

高校野球に関しては「誰もが知っているのに、誰もが言わないこと」がけっこう多いが、この漫画は「言ってしまって」いる。

甲子園で活躍すればプロが沢山裏金包んで近づいてきてくれるようになるんだぞ!
九九や分数が怪しくても早稲田大のスポーツ科学部なら面接と書類選考だけで入れるようになるんだ!

と監督が公式戦の試合中に絶叫する高校野球漫画など、これまでにあっただろうか。おまけにこの巻はセンバツ出場のために、正攻法なのか邪道なのかよく判らない工作を展開するのが中心的なエピソードになっている。出版時期としてはタイムリーすぎる。にもかかわらず後味の悪さがないのは、作者が本当は高校野球ファンで、ファン心理の裏返しとしてこの作品を描いているからだろう。ファンでもなければ、地方予選のディティールをここまで細かくは描けない。毒の強いギャグ漫画はどうしても受け付けられない、というひとでなければ面白く読めるはずだ。
あとは野球とは関係のない政治ネタ、社会ネタの諷刺ギャグが前巻よりも冴えている。作者はおそらくノンポリだろうが、ノンポリならでは強みで右も左も笑いのめすのは痛快。ギャグのテイストはかなり違うが、「ノンポリならではの強み」という点では久米田康治を思わせる。