おいらは自然主義的リアリズム

『巨船ベラス・レトラス』(ISBN:4163256903)読了。面白くないはずがないが、面白かった。しかしこの本に関するちゃんとした感想を書くには、『ゲーム的リアリズムの誕生』(ISBN:4061498835)も読まなければ、と思う。関係ないじゃん! というひとがいるかもしれないが、『巨船』は「現代文学はなぜ衰退したのか」をかなり大真面目に考察している小説で、『ゲーム的リアリズムの誕生』は『巨船』の登場人物からはほとんど無視されている文学ジャンルであるライトノベルに関する長篇批評であり、おまけに筒井康隆に捧げられているのだ(東浩紀筒井康隆にこの本を捧げた経緯は、「あとがき」を参照)。この2冊がほぼ同じ日に出版されたことに、ユング的というか何というか、とにかくそのたぐいの共時性を見出したくなっても悪いことではないだろう。