こんなものいらない、かな?

なぜこんなものが存在するのかよく判らないものは誰にでもあるだろうが、オレにとっては「現代国語の授業」である。漢字や文法はともかく、それ以外のことを教える必要がどこにあるのか。小学校から高校まで国語の成績は一貫してよかったのだが、授業をまともに聞いたことも、家で自習したこともない(乱雑な読書が結果として自習になっていたのかもしれないが)。テストでは自動筆記状態で解答欄を埋めていったら、なぜか正解していたというパターンを繰り返していた。ゆえにオレは家庭教師で国語を教えられる自信がまったくない。「こうすれば正解にたどり着ける」という方法論をまったく持っていないからだ。
そんなわけで国語の教科書で何を読まされたのか、ほとんど覚えていないのだが、ひとつだけ感心した文章がある。「自然科学に詳しいと自称しているひとは、『地球は完全な球体ではなく、赤道方向に膨らんだ楕円形をしている』と言いがちだ。しかし赤道方向への膨らみはほとんど誤差の範囲であって、完全な球体と表現したほうがやはり正しいのだ」という内容。誰が書いた何という文章なのだろうか。
あとは小林秀雄が「平家物語」の文体の簡潔さを称えた文章と、吉田秀和が相撲の解説記事を書くことの難しさを語った文章が、これといった理由もなく記憶に残っている。小林秀雄吉田秀和という、良くも悪くも旧制高校的、「東大仏文」的な知識人の文章を覚えているとは、いまとなっては気恥ずかしい。