フリョ記

前回に続いて、フランス語版Wikipediaの話。興味のないひとにとっては徹底的に興味のない話題である。
フランス語版Wikipedia坂本龍一の記述を読んでいたら、「彼は『Furyo』という映画の音楽を作った」といった一節があった。「Furyo」とは何のことだと思ったら、「戦場のメリークリスマス」であった。どうやらフランスだけではなく、ヨーロッパ圏ではこのタイトルが定着しているようだ。
「Furyo」はもちろん日本語の「俘虜」のことだろう。たしかにあの作品は俘虜を描いているのだから、このタイトルが内容を伝えていないわけではない。しかし大岡昇平の愛読者を除けば日本人にとっても馴染みの薄い言葉になりつつある「俘虜」が、なぜ正式なタイトルになったのか、疑問は残る。フランスやドイツでは意外と知られている言葉なのだろうか。