新書ベスト5

年の瀬であり、もう漫画以外の本を読みそうにもないので、活字の本の年間ベスト5を選んでみる。といっても今年は体調不良や入院が重なり、何とも貧寒たる読書生活しか送れなかった。とりわけ専門書や小説の読書量はひどい有様なので、選ぶ対象は教養系の新書にかぎる。なお出版された時期はかならずしも今年にかぎらないが、あまりにも古いものは対象外とした。

  1. 岡田暁生西洋音楽史』(ISBN:4121018168
  2. 高原基彰『不安型ナショナリズムの時代』(ISBN:4862480195
  3. 石田あゆう『ミッチー・ブーム』(ISBN:4166605135
  4. 高田理惠子『グロテスクな教養』(ISBN:4480062394
  5. 内田樹『私家版・ユダヤ文化論』(ISBN:4166605194

うわ、見事に誰かがすでに話題にしていそうなものしか並んでいない。情けない。『不安型ナショナリズムの時代』のおかげで、日中韓近現代史の共通点と相違点がしっかり把握できた。いわゆる「ネット右翼」のひとも、この程度の知識は踏まえた上で議論に参加しよう。『ミッチー・ブーム』は一見すると皇室礼讃本のようであるが、じつは佐藤卓己門下生によるしっかりしたメディア論。「嬉しい誤算」ということもあり、順位が上がった。しかし高原、石田両氏とも、オレより年下なのだよなあ……
ベスト5からは漏れたが、太田光中沢新一憲法九条を世界遺産に』(ISBN:4087203530)もよかった。この本、かなり売れているようだが、いかにも誉めそうなひとばかりが誉め、いかにも読みそうなひとばかりが読んでいる印象がある(統計的な根拠はないが)。政治にも文学にも興味はないが、爆笑問題をネタにした二次創作には熱心な女の子が何かの間違いで手に取っていきなり「覚醒」してしまう、といった偶発事が起こってこそ、意義のある1冊だと思うのだが。