乱舞するカタカナ

目白が都心なのかどうかは、このさいどうでもよろしい。
脳出血を起こして入院して、しばらくはベッドの上にがんじがらめになる。半強制的に身体を縛り付けられるのだ(やっぱ監獄と病院にはアナロジーが成立するぜ)。うっかり半身を起こしたりなどすると、それがはずみで出血して病状が悪化する可能性があるからである。というわけで入院してから数日間、ひたすら集中治療室の天井を見ながらすごしたのだが、天井の抽象模様がすべてカタカナの固有名詞に見えるという幻覚に襲われた。しかも映画監督やミュージシャンや画家の名前ばかり。最初は「天井にこんな寄せ書きをするなんて、おかしな病院だなあ」と本気で思っていた。
もしかしたらこの症状はいまだに治まっておらず、こうしてブログに書き連ねている文字列も、第三者から見ればミミズののた打ち回った跡にしか見えず、オレがベッドで暇つぶしに読んでいる本も、もともと書かれていることとはまったく異なるメッセージを読み取っているのかもしれない。