知りたいのはそこなのだよ

憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

180ページ足らずの薄い本だったので、あっという間に読了。中沢新一はともかく、太田光がここまで政治や文学についてあれこれと思い巡らしているとは知らなかった。「いわゆる転向という問題がすごく大きいのはわかるんだけれど、転向の研究をずっとやっている意味はなんだろうと」「難しい専門用語じゃなく、何で転向したの? というシンプルなことを僕は聞きたい。それを生の言葉で語ってほしいんです」という太田の問いに、オレもまた追随したい。転向について事後的・理論的に語ったテクストは多いけど、転向したそのとき何が起こったのかについては、誰もが寡黙だ。1970年以降に生まれた人間にとっていちばん理解しづらい(リアリティーを失った)問題なのだから、もう少し饒舌になってはくれまいか。