ボルヘスと性

ジュネーヴ時代にボルヘスの父は息子の性的晩熟ぶりを心配し、ボルヘスをとある娼家の、一人の娼婦のもとに送り出したことがある。しかしボルヘスは「父もこの女の客だったのかもしれない」という疑念にとらわれて、恐らくは童貞を失うに至らなかった。これ以後、ボルヘスは生涯にわたって女性との交際に困難をきたすようになってしまった。

同じ時期にボルヘスは、性的な臆病さを克服する目的で精神科医の助けを求めたことがある。ボルヘスの女友達の一人は、彼を性的不能と断言した。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス - Wikipedia

たしかにボルヘスの短篇小説ぐらい、性の匂いを感じさせない文学作品も珍しい。しかしこれはいわゆる「非モテ」ではなく、彼は単に女性にも男性にも性的な興味を持つことができなかったのではないだろうか。勝手な憶測だが、「なんでセックスなんてやらなくちゃならないわけ?」と生涯にわたって不思議に思い続けていたような気がする。