繋がっていく物語

浅野いにお『素晴らしい世界』(ISBN:4091572111,ISBN:409157212X)。ある作品では脇役として一瞬だけ登場した人物が、別の作品では主役として活躍することでゆるやかな連環が生まれるというあざとくなりがちな手法を、スマートに使っているのが心地よい。そういう技巧面だけで評価する漫画ではないのだが、ストレートに褒めるのも照れ臭いと感じる中年男なのだよ。あとこのひとは、最終話でいきなりSFになることが多いような。
ところで上の手法は、小説よりも漫画に向いているのではないか。ある人物とある人物が同一であるのを文章で示そうとすると、わざとらしくなりがちだが、絵であればすぐに伝わるからだ。