受験参考書のことではない

中野晴行マンガ産業論』(ISBN:4480873465)、第二部まで読了。いや、面白い。あえて作家論、作品論には踏み込まず、漫画(およびその周辺のさまざまなサブカルチャー)の産業としての側面だけを切り出すことで、非常に見通しのいい戦後漫画史になっている。個人的に興味深かったのが、手塚治虫などがデビューする足がかりとなった「赤本」が正規の出版物に劣った副次的な存在ではなく、大阪発のオルタナティブな出版文化であったという指摘。日本の出版文化はつねに東京中心で動いてきたと考えると、思わぬ落とし穴が待ち受けているのだな。